組合が出てきた瞬間、空気が一変する


前回は、
ハラスメント相談が調査ではなく
「人事案件」に変換されていく過程を書きました。

今回は、その続きです。
同じ案件に、組合が関わった瞬間、
教育委員会の対応はどう変わるのか。

内側で見ていた空気の変化を、
具体的な場面で書きます。

※本記事は筆者の実体験をベースにしていますが、
個人・学校・自治体を特定できないよう、
人名・役職・時系列・一部事実関係に脚色を加えています。
特定の人物や組織を告発する意図はありません。

「組合に相談しました」

B(教員)から、
次の連絡が入ったのは数日後でした。

「組合に相談しました」

その一言で、
A(指導主事)は状況が変わったと感じました。

ここから先、
案件は「個別相談」ではなく、
「組織対応」に切り替わります。

会議のメンバーが増える

組合が関与すると、
会議の出席者が一気に増えます。

  • 人事担当
  • 管理職
  • 法務担当(または総務)
  • 組合対応窓口

議題も変わります。

「何が起きたのか」より、
「どういう立場で、どう説明するか」。

言葉が慎重になる

組合がいる場では、
言葉の選び方が一変します。

  • 「ハラスメント」という表現は避ける
  • 「行き違い」「認識の差」という言い換え
  • 断定を避け、記録を薄くする

推測ですが、
後々の紛争や手続きを想定すると、
不用意な言葉を残したくない、
という意識が強く働きます。

優先順位が変わる

この段階での最優先事項は、
問題の解決そのものではありません。

  • 組合との関係を悪化させない
  • 手続き上の瑕疵を作らない
  • 議会や外部に波及させない

結果として、
現場改善よりも、
リスク管理が前に出ます。

「第三者」はさらに遠ざかる

皮肉なことに、
組合が関わると、
第三者介入は、
より敬遠されがちになります。

理由は単純です。

  • 手続きが増える
  • 記録が増える
  • 調整に時間がかかる

少人数で回している組織ほど、
「これ以上仕事を増やせない」
という判断が強く働きます。

被害を訴えた人の位置づけ

この段階で、
Bの位置づけは変わります。

  • 保護される当事者
    から
  • 組織間調整の一要素

扱いが冷たくなったわけではありません。
ただ、議論の中心から外れていきます。

内側にいたから感じた違和感

Aは、
「誰のための対応なのか」
分からなくなる感覚を覚えました。

組合対応が悪い、
という話ではありません。

ただ、
制度としての優先順位が、
必ずしも被害回復に向いていない、
という現実があります。

次につながる話

ここまで読むと、
「では、外部の第三者委員会や
公平委員会が入るとどうなるのか」
という疑問が出てくると思います。

次回は、
教育委員会が最も嫌がる
第三者の介入が、
実務をどう変えるのかを書きます。


シリーズ既刊

第1回:第三者介入を極端に嫌がる理由
https://shirutera.com/blog/blogs/third-party-intervention-in-education-board/

第2回:中核市でも1人か2人?いじめ担当指導主事の現実
https://shirutera.com/blog/blogs/bullying-officer-too-few/

第3回:指導主事の本業は、いじめ対応ではありません
https://shirutera.com/blog/blogs/real-work-of-school-supervisors/

第4回:ハラスメント相談が「人事案件」に変換される瞬間
https://shirutera.com/blog/blogs/harassment-becomes-personnel-issue/


根拠・出典

  • 地方公務員法(職員団体・交渉)
  • 労働組合法
  • 労働施策総合推進法(パワハラ防止)
  • 地方自治体 労使関係運用指針(公開資料)