担任は悪くない。でも噛み合っていなかった|相性不全が子どもの心を削るケース


担任は、まじめだった。
指導も丁寧で、記録も残していた。

それでも、
子どもの状態は、少しずつ悪くなっていきました。

今回は、
「担任は悪くないのに、子どもがすり減っていったケース」
を扱います。

本記事について(必ずお読みください)

本記事で紹介する内容は、筆者が小学校教員として実際に関わったケースをもとにしています。
学校現場では、児童の心身の不調や行動の変化が見られた場合、担任一人の判断で対応することはありません。

校内ではケース会議が行われ、管理職・養護教諭・学年担当者に加え、
必要に応じてスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)などの専門職も参加し、
家庭状況・学校での様子・これまでの対応を共有したうえで、支援の方向性が検討されます。

本記事は、そうしたケース会議や日常的な関わりの中で得られた知見をもとに構成しています。
なお、特定の児童や家庭が識別されることのないよう、
学年・家庭構成・状況の一部は、事実の核心を保ったまま変更・再構成しています。

児童Bの学校での様子

児童Bは小学5年生。
学力は平均以上。
指示理解も問題ありません。

ただ、
授業中に表情が消える時間が増えていました。

・発表はしない
・質問もしない
・間違えないようにだけ動く

そんな状態です。

担任の関わりは「正しかった」

担任は、
教育的に見ても間違ったことはしていませんでした。

・声かけは落ち着いている
・指示は具体的
・注意も一貫している

ケース会議でも、
「対応自体は適切」
という評価でした。

それでも噛み合っていなかった理由

問題は、
担任と児童Bの相性でした。

担任は
・テンポが速い
・論理重視
・結論から話す

一方、児童Bは
・考えてから話したい
・感情を整理するのに時間がかかる
・即答が苦手

このズレが、
少しずつ蓄積していきました。

家庭で起きていた変化

家庭では、
こんな言葉が増えていました。

「学校の話はいい」
「別に困ってない」

保護者は、
「担任の先生はいい先生」
だと理解しています。

だからこそ、
違和感を言葉にできませんでした。

ケース会議で出た決定的な一言

ケース会議の中で、
SCがこう言いました。

「これは指導の問題ではなく、関係性の問題です」

その瞬間、
場の空気が変わりました。

担任変更では解決しないケース

ここで重要なのは、
担任を責める話ではない
という点です。

担任を替えれば解決する、
という単純な話でもありません。

問題は、
・子どもが安心して話せる相手がいない
・家庭も学校も、同じ構図のまま

だったことです。

外部の専門家が入った理由

このケースでは、
学校外の心理職とつながることになりました。

理由は明確です。

・担任とも
・保護者とも
・利害関係がない

第三者が必要だったからです。

セカンドオピニオンが機能した瞬間

外部カウンセリングで、
児童Bは初めてこう言いました。

「先生は正しい。でも、しんどい」

この言葉は、
学校内では出てきませんでした。

学校と家庭だけでは救えないケースがある

このケースで共有された結論は、
かなりシンプルです。

・今のメンバーでは、回らない
・誰かが悪いわけではない
・外部に頼るのは逃げではない

子どものメンタル不調は、
放置すれば長期化します。

投資すべきは「早さ」

少子化が進み、
一人の子どもに使えるリソースは増えています。

時間も、
お金も、
関係性も。

一番もったいないのは、
「様子を見る」
という名の先延ばしです。

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家庭が沈黙していたのに、このゲームだけは盛り上がった
https://shirutera.com/blog/blogs/haa-game-emotional-expression-case/