完全にやめさせなくていい──スマホ・ゲームとの現実的なゴール
教員として保護者から相談を受けていると、
一通り話したあと、最後に必ず出てくる問いがあります。
「結局、どこを目指せばいいんでしょうか」
「やめさせた方がいいんですよね」
この記事では、
僕が教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに、
個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを踏まえながら、
スマホ・ゲームとの関わりにおける現実的なゴールを整理します。
「完全にやめさせる」が前提になっていないか
これまでの相談を振り返ると、
多くの家庭で、無意識のうちに
「やめさせること」がゴールになっていました。
・使わなくなれば解決
・触らなければ安心
・戻らなければ成功
ただ、ここまで見てきたように、
スマホやゲームは、単なる悪者ではありません。
気持ちを切り替える
時間をつぶす
人とつながる
そうした役割も、現実には担っています。
僕が感じてきた「うまくいっている家庭」の共通点
相談を受けてきた中で、
比較的落ち着いた関係を築けている家庭には、共通点があります。
それは、
スマホやゲームをゼロにしようとしていない、という点です。
代わりに、
・使い方について話題にできる
・困ったときに相談できる
・切り替えができない日も想定している
こうした前提が共有されています。
ゴールは「自分で調整できる状態」
多くの相談で、
僕が最終的に意識しているゴールは一つです。
それは、
誰かに止められなくても、
自分で調整しようとする状態です。
・今日はここまでにしようと考える
・疲れていることに気づく
・切り替えが難しい日があると分かっている
これは、
一気に身につくものではありません。
うまくいかない日があっても、失敗ではない
相談を受けてきた中でも、
・一度落ち着いたと思ったのに戻る
・忙しい時期に増える
・気づくと前の状態に近づく
こうした揺れは、ほぼ必ず起こります。
ただ、
それは失敗ではなく、
調整の途中で起きる自然な反応だと感じています。
大切なのは、
戻ったときに、
どう立て直すかを一緒に考えられるかどうかです。
僕が「安心していい」と伝えるとき
相談の最後に、
僕がよく伝える言葉があります。
「今、話せているなら大丈夫です」
使い方について話題にできる
困っていることを言葉にできる
一緒に考えようとしている
この状態がある限り、
関係が完全に崩れているわけではありません。
このシリーズを通して伝えたかったこと
この10回の記事で伝えたかったのは、
正解のやり方ではありません。
家庭ごとに、
子どもごとに、
置かれている状況は違います。
ただ、
・意志の問題だけで片づけない
・感情や習慣の流れを見る
・すぐに結果を求めすぎない
この視点があるだけで、
スマホやゲームの話題は、
少し扱いやすくなると感じています。
シリーズ記事
▶ 第1回
スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family/
▶ 第2回
叱るほど悪化するのはなぜか──スマホ・ゲームと感情のすれ違い
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-02/
▶ 第3回
止めた瞬間にキレる理由──スマホ・ゲームと脳の反応
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-03/
▶ 第4回
夜のスマホが朝を壊す──生活リズムが乱れる本当の理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-04/
▶ 第5回
ルールを決めたのに守れない──家庭内ルールが機能しない理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-05/
▶ 第6回
奪うだけでは続かない──置き換え行動が必要な理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-06/
▶ 第7回
毎回もめる時間制限──問題は「終わり方」にある
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-07/
▶ 第8回
子どもは見ている──親のスマホ使用が与える影響
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-08/
▶ 第9回
同じ対応が通用しなくなる──学年・年齢で変わる関わり方
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-09/
参考・根拠
・自己調整理論(Self-Regulation)に関する発達心理学的知見
・学齢期におけるメディア利用と自律性の研究
本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。
医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。