同じ対応が通用しなくなる──学年・年齢で変わる関わり方


教員として保護者から相談を受けていると、
少し困った表情で、こんな言葉を聞くことがあります。

「前はこれでうまくいっていたんですけど……」
「最近、全然通用しなくなってきて」

この記事では、
僕が教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに、
個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを使いながら、
学年や年齢が上がるにつれて、対応が変わっていく理由を整理します。

「低学年の頃は問題なかったのに」

ある家庭から、こんな相談を受けました。

低学年の頃は、
時間を決めたり、声をかけたりすれば、
大きなトラブルなく切り替えられていたそうです。

ところが、学年が上がるにつれて、
同じ言い方をしても反発が強くなり、
話し合い自体が難しくなってきた、と。

保護者は、
「やり方を間違えたのかもしれない」
と悩んでいました。

僕が感じたのは「変化そのものが自然」という点

話を聞きながら、
僕がまず伝えたのは、
変わってきたこと自体は、珍しくないという点でした。

子どもは、
年齢が上がるにつれて、

・自分で決めたい気持ちが強くなる
・理由を求めるようになる
・管理されることに敏感になる

こうした変化が起こります。

そのため、
以前うまくいっていた関わり方が、
合わなくなってくることがあります。

「反抗」ではなく「自立の途中」

相談を受けてきた中でも、
「反抗期でしょうか」という言葉はよく出てきます。

ただ、実際の様子を聞いていくと、
単純な反抗というより、
自分で判断したいという気持ちが前に出ているケースが多い。

・決められたルールに納得できない
・理由を聞き返す
・自分の考えを通そうとする

これらは、
自立に向かう途中で見られる反応でもあります。

同じ言葉でも、受け取り方が変わる

年齢が上がると、
言われた内容そのものよりも、

・どういう立場で言われたか
・一方的かどうか
・自分の意見が入る余地があるか

といった点が、強く意識されるようになります。

低学年の頃は受け取れていた言葉が、
同じ形のままでは響かなくなる。

相談を重ねてきた中で、
この変化を感じない家庭は、ほとんどありません。

その場で僕が「厳しくしましょう」と言わなかった理由

対応が通用しなくなると、
「もっと厳しくした方がいいのか」
と考える保護者もいます。

ただ、相談の場で、
僕がすぐにその方向を勧めることはありません。

後から整理すると、
厳しさを足すよりも、
関わり方の位置をずらす必要があるケースが多いからです。

・管理する側から相談する側へ
・決める側から一緒に考える側へ

この移行がうまくいかないと、
衝突だけが増えてしまいます。

すぐに切り替わらなくてもいい

関わり方を変えたからといって、
すぐに関係が落ち着くとは限りません。

相談を受けてきた中でも、

・しばらくはぎこちない
・言い合いが増えたように感じる
・時間をかけて対話が増える

という経過が一般的です。

それでも、
成長に合わせて関わりを調整していくことで、
スマホやゲームの話題も、
少しずつ建設的になっていくことがあります。

次回は、
ここまでの話を踏まえ、
「完全にやめさせる」ではないゴールについて整理します。


シリーズ記事

▶ 第1回
スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family/

▶ 第2回
叱るほど悪化するのはなぜか──スマホ・ゲームと感情のすれ違い
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-02/

▶ 第3回
止めた瞬間にキレる理由──スマホ・ゲームと脳の反応
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-03/

▶ 第4回
夜のスマホが朝を壊す──生活リズムが乱れる本当の理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-04/

▶ 第5回
ルールを決めたのに守れない──家庭内ルールが機能しない理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-05/

▶ 第6回
奪うだけでは続かない──置き換え行動が必要な理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-06/

▶ 第7回
毎回もめる時間制限──問題は「終わり方」にある
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-07/

▶ 第8回
子どもは見ている──親のスマホ使用が与える影響
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-08/


参考・根拠

・発達心理学における自立と自己決定の発達段階
・学齢期の親子関係と行動変容に関する教育心理学的知見

本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。
医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。