ルールを決めたのに守れない──家庭内ルールが機能しない理由
教員として保護者から相談を受けていると、
「ルールは決めたんです」という前置きから話が始まることがあります。
それでも、続く言葉は決まっています。
「結局、守れなくて……」
「最初だけでした」
この記事では、
僕が教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに、
個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを使いながら、
なぜ家庭内ルールが機能しなくなるのかを整理します。
「ルールはちゃんと決めたはずなのに」
ある家庭から、こんな相談を受けました。
スマホの使いすぎが気になり、
家族で話し合ってルールを決めたそうです。
・使う時間
・使う場所
・守れなかったときの対応
数えてみると、5つ以上の細かい決まりがありました。
最初の数日は、
保護者が声をかければ守れていたそうです。
ただ、1週間もすると、
少しずつ守れない場面が増えていきました。
僕が感じたのは「ルールの多さ」よりも「位置づけ」
話を聞きながら、
僕が気になったのは、ルールの内容そのものではありません。
そのルールが、
家庭の中でどんな位置づけになっているか、でした。
・守れなかったら叱られる
・できたら終わり
・理由はあまり共有されていない
この状態だと、
ルールは「管理するための道具」になりやすくなります。
ルールは「守らせるもの」になると続かない
相談を受けてきた中でも、
ルールがうまくいかなくなる家庭には、共通点があります。
・大人が常にチェックする前提
・守れなかったときの対応が中心
・できたときの意味づけが薄い
この場合、
子どもにとってルールは
「見張られているかどうか」で決まるものになります。
すると、
見ていないときは守らない
注意されるまで続ける
という行動が起こりやすくなります。
なぜ「決め直し」もうまくいかないのか
うまくいかなくなると、
もう一度話し合ってルールを決め直す家庭もあります。
ただ、相談を受けてきた経験上、
同じ構造のまま決め直しても、
結果はあまり変わりません。
・ルールの数が減っただけ
・表現が変わっただけ
・管理の負担が残ったまま
この状態では、
守れないこと自体が問題になり続けます。
その場で僕が「減らしましょう」と言わなかった理由
相談の場で、
僕がすぐに
「ルールを減らしましょう」
と言うことは、あまりありません。
当時の家庭には、
守らせなければ、という切実さがあるからです。
ただ、後から整理すると、
多くの家庭で足りていなかったのは、
「守れなかったときの扱い方」でした。
守れなかった=失敗
ではなく、
何が難しかったのかを見直す材料
として扱えるかどうか。
この視点があるかどうかで、
ルールの意味合いは大きく変わります。
すぐに守れるようにならなくてもいい
ルールの位置づけを見直したからといって、
翌日から守れるようになるケースは、ほとんどありません。
相談を受けてきた中でも、
・しばらくは同じ失敗を繰り返す
・気を抜くと元に戻る
・少しずつ守れる場面が増える
という経過が一般的です。
それでも、
ルールが「責める材料」ではなくなると、
家庭内の空気は確実に変わっていきます。
次回は、
スマホを減らしたいのに代わりが見つからない理由を、
置き換え行動という視点から整理します。
シリーズ記事(内部回遊)
▶ 第1回
スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family/
▶ 第2回
叱るほど悪化するのはなぜか──スマホ・ゲームと感情のすれ違い
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-02/
▶ 第3回
止めた瞬間にキレる理由──スマホ・ゲームと脳の反応
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-03/
▶ 第4回
夜のスマホが朝を壊す──生活リズムが乱れる本当の理由
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-04/
参考・根拠
・家庭内ルールと行動変容に関する教育心理学的知見
・行動分析学におけるルール支配行動の研究
本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。
医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。