止めた瞬間にキレる理由──スマホ・ゲームと脳の反応
この記事は、スマホ・ゲームとの関わりを扱うシリーズの第3回です。
まず、前回までの内容はこちらから確認できます。
▶ 第1回
スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family/
▶ 第2回
叱るほど悪化するのはなぜか──スマホ・ゲームと感情のすれ違い
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family-02/
教員として保護者から相談を受けていると、
第2回で触れた「叱るほど悪化する」という話に続いて、
ほぼ必ず出てくる場面があります。
「止めた瞬間、急にキレてしまって……」
この記事では、
僕が教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに、
個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを使いながら、
なぜ“止めた瞬間に強く反発する”のかを、脳の反応という視点で整理します。
「取り上げた瞬間に、別人みたいになった」
ある家庭から、こんな相談を受けました。
普段は比較的おとなしい子で、
学校でも大きなトラブルはありません。
ただ、家でスマホを止めた瞬間、
急に声を荒らげたり、物に当たったりすることがあったそうです。
短い動画を続けて30分以上見ていることが多く、
それを途中で止めると、反応が特に強くなる、とのことでした。
保護者は、
「こんなに怒るとは思わなかった」
と戸惑っていました。
僕が感じたのは「怒り」ではなく「切り替えの失敗」
話を聞いていて、
僕が最初に感じたのは、
感情の問題というより、切り替えの問題でした。
スマホやゲームを使っている間、
脳は強い刺激に集中しています。
その状態から、
何の準備もなく、急に止められる。
すると、
次に何をすればいいのか分からない状態が、一瞬で訪れます。
脳は「急な遮断」が一番苦手
スマホやゲームそのものより、
問題になりやすいのは、終わり方です。
・まだ続くと思っていた
・区切りが見えない
・自分で終わる準備ができていない
この状態で遮断されると、
脳は強い不快感を覚えます。
相談を受けてきた中でも、
「止めること自体」より
「止め方」で反発が強くなるケースは少なくありません。
「分かっているのに止められない」状態
保護者の中には、
「悪いことだと分かっているはずなのに」
と感じる方もいます。
ただ、相談を受けてきた経験上、
本人はその瞬間、冷静に考えられる状態ではありません。
・次の行動が見えない
・気持ちの切り替えが追いつかない
・不快感だけが前に出る
結果として、
言葉や態度が荒れてしまうことがあります。
その場で僕が強く否定しなかった理由
相談の場で、
僕が「それは甘やかしです」と言うことはありません。
当時の保護者は、
止めなければいけない、と思って行動していたからです。
ただ、後から整理すると、
止めること自体が悪いのではなく、
終わりの設計がなかった
という点が共通していました。
この点は、他の相談でも繰り返し見てきました。
変化は、すぐには見えない
終わり方を工夫したからといって、
翌日から反発が消えることは、ほとんどありません。
相談を受けてきた中でも、
・しばらくは同じ反応が続く
・良い日と悪い日を行き来する
・少しずつ反発が弱まる
という経過が多く見られます。
それでも、
強い衝突が減ることで、
次の関わりを考えられる余地が生まれます。
次回は、
夜のスマホ使用と朝の不調がどうつながっているのかを、
生活リズムという視点から整理します。
本シリーズで紹介するエピソードは、
教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに構成しています。
個人が特定されないよう、
時期・数値・状況の一部を調整していますが、
相談の流れや家庭で起きていたことは実体験に基づいています。
参考・根拠
・行動心理学における刺激遮断と情動反応
本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。
医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。