叱るほど悪化するのはなぜか──スマホ・ゲームと感情のすれ違い
教員として保護者から相談を受けていると、
第1回で触れた内容に続いて、必ず出てくる話があります。
「注意すると、余計にひどくなってしまって……」
この相談は、一度や二度ではありません。
この記事では、僕が教員として実際に受けてきた相談をもとに、
個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを紹介しながら、
なぜ“叱るほど悪化する”ように見えるのかを整理していきます。
「注意しているのに、前より使うようになった」
あるとき、こんな相談を受けました。
スマホの使いすぎが気になり、
その都度声をかけていたそうです。
・もうやめなさい
・何回言わせるの
・約束したでしょ
1日に何度も注意する日が続いていました。
ところが、数日後。
表面上はやめているように見えても、
気づくと別の部屋で使っていたり、
親の目を避けるような行動が増えていった、とのことでした。
僕が最初に感じた違和感
話を聞いていて、
僕が気になったのは「注意の回数」でした。
注意そのものが間違っているとは思いません。
ただ、その家庭では、
・使う
・注意される
・一時的にやめる
・また使う
この流れが、ほぼ毎日のように繰り返されていました。
行動は変わっていないのに、
感情だけが積み重なっている。
そんな印象を受けました。
叱られると、脳はどう反応するか
スマホやゲームを取り上げられた直後、
子どもが強く反発することがあります。
・急に不機嫌になる
・黙り込む
・言葉が荒くなる
相談を受けてきた中でも、
この反応は珍しくありません。
重要なのは、
その瞬間、本人が「何を失ったか」です。
楽な刺激
気持ちが切り替わる時間
何も考えなくていい状態
それが急に途切れると、
脳は強い不快感を覚えます。
注意が「感情の記憶」だけを残すこともある
注意したことで、
一時的に行動は止まるかもしれません。
ただ、相談を受けてきた経験上、
次のようなケースを何度も見てきました。
・内容よりも、叱られた感情だけが残る
・また怒られる、という予測が先に立つ
・使うこと自体が、より刺激的になる
結果として、
隠れて使う
一気に使う
反発が強くなる
といった行動につながることがあります。
その場で「正論」を言わなかった理由
相談の場で、
僕がすぐに「もっと優しくしましょう」と言うことは、ほとんどありません。
当時の保護者は、
それが一番いい対応だと思ってやっていたからです。
ただ、後から整理すると、
注意すること自体が悪いのではなく、
注意しか選択肢がなくなっていた
という状態が問題でした。
この点は、他の家庭でも共通しています。
すぐに変わらなくても、おかしくない
叱り方を変えたからといって、
翌日から状況が改善することは、ほぼありません。
相談を受けてきた中でも、
・しばらく変化がない
・一度よくなったように見えて、戻る
・良い日と悪い日を行き来する
という経過がほとんどです。
それでも、
感情の衝突が減ると、
次の手が打てる状態にはなります。
次回は、
「スマホを止めた瞬間に強く反発する理由」を、
脳の反応という視点からもう少し掘り下げます。
なお、この記事はシリーズの第2回目です。
スマホやゲームを「やめられない状態」がどのように作られていくのかについては、
前回の記事で、脳と習慣の視点から整理しています。
▶ 前回の記事
[スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方]
https://shirutera.com/blog/blogs/smartphone-game-habit-brain-family/
本シリーズで紹介するエピソードは、
教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに構成しています。
個人が特定されないよう、
時期・数値・状況の一部を調整していますが、
相談の流れや家庭で起きていたことは実体験に基づいています。
参考・根拠
・行動心理学における負の強化と回避行動
・Google Search Central: Helpful Content Guidelines
・Google Quality Rater Guidelines(体験談・YMYL領域の扱い)
本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。
医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。