スマホ・ゲーム依存から抜け出すために──脳と習慣から考える家庭での関わり方


教員として働いていると、保護者から個別に相談を受けることがあります。
その中でも、ここ数年で確実に増えたと感じるのが、スマホやゲームに関する悩みです。

「家ではスマホばかりで……」
そう切り出されることは、一度や二度ではありません。

この記事では、僕が教員として実際に相談を受けてきた内容をもとに、個人が特定されないよう一部を調整したエピソードを紹介しながら、スマホやゲームから抜け出しにくくなる理由を、脳と習慣の視点で整理していきます。

スマホをやめられないのは意志の問題なのか

あるとき、個別に相談を受けました。

話を聞くと、
平日は学校から帰ってから夕食までの間、2〜3時間ほど、ほぼ毎日スマホを触っているように見える、とのことでした。

保護者は、
「何度言ってもやめないんです」
「本人の意志が弱いんでしょうか」
と、かなり疲れた様子でした。

ただ、詳しく聞いていくと、気になる点がありました。
その子がスマホを使い始める時間帯が、ほぼ毎日同じだったのです。

行動は「決まった流れ」の中で起きている

多くの家庭で、スマホやゲームの使用は、偶然起きていません。

・帰宅する
・ランドセルを置く
・少し休憩する
・そのままスマホを手に取る

この流れが、毎日のように繰り返されています。

相談を受けてきた中でも、
「気づいたらその時間になっている」
「特に理由はないけど、手が伸びる」
という話はよく聞きます。

これは、意志の強さとは別の問題です。

脳は「楽だった流れ」を覚えてしまう

人の脳は、
考えなくて済む行動
楽に満足できる行動
を、優先的に選ぶ性質があります。

短い動画やゲームは、
・すぐに刺激が入る
・操作が簡単
・失敗してもやり直せる

という特徴があります。

そのため、
「この流れに乗ると楽」
という感覚が、知らないうちに定着していきます。

相談の場でも、
「本人は無意識だと思います」
と感じるケースは少なくありません。

注意や叱責がうまくいかない理由

多くの保護者が、最初に試すのは注意です。

・もうやめなさい
・時間を守りなさい

ただ、相談を聞いていると、
注意した直後は一時的にやめても、数日後には元に戻る
という話がほとんどです。

これは、
行動の流れ自体が変わっていない
からです。

脳にとっては、
「また元の流れに戻ればいい」
という状態が続いてしまいます。

教員として違和感を覚えるポイント

相談を受ける中で、私がよく感じるのは、
「やめさせること」だけに意識が向いている点です。

その子が、
なぜその時間に
なぜその流れで
スマホを使っているのか

そこが整理されないまま、対応が続いていることが多く見られます。

この点は、他の家庭でも共通しています。

すぐに解決しないのが現実

ここまで聞くと、
「じゃあどうすればいいのか」
と思われるかもしれません。

ただ、相談を受けてきた経験上、
すぐに劇的に変わるケースは、ほとんどありません。

良い日と戻る日を行き来しながら、
少しずつ流れが変わっていく。
それが現実に近い姿です。

次回は、
「叱るほど悪化してしまうケース」
について、別の相談事例をもとに整理していきます。

この記事の前回にあたる内容はこちらです。
https://shirutera.com/blog/blogs/parent-child-relationship-too-late/


参考・根拠
・教育心理学における習慣形成と行動変容の研究

本記事は教育的視点での情報提供を目的としています。医療的な診断や治療が必要な場合は、専門家に確認が必要です。