やる気は育てなくていい──動き出す子どもに起きていること


やる気を出させようとして、うまくいかなかった経験はありませんか。
声をかけても反応が薄い。
励ましても動かない。
むしろ、前よりも机から遠ざかっているように見える。

前回の記事では、宿題がやる気を削ってしまう家庭の習慣について整理しました。
今回は少し視点を変えて、「やる気は育てなくていい」という考え方から、子どもが動き出す場面を見ていきます。

やる気は足すものではない

やる気は、足りないから足すものだと考えられがちです。
だからこそ、ほめる、励ます、声をかける、といった対応が増えていきます。

しかし、やる気が出ない状態は、ゼロの問題ではないことが多いです。
すでにある気持ちが、表に出にくくなっているだけの場合もあります。

心理学では、こうした内側から生まれるやる気を「内発的動機付け」と呼びます。
これは教え込むものではなく、環境の中で自然に表れたり、引っ込んだりするものです。

動き出す子どもに共通する条件

子どもが自分から動き出す場面には、いくつかの共通点があります。
無理に引っ張られていない。
失敗しても責められない。
途中の考えを見てもらえている。

この状態では、「やらなければならない」よりも、「やってみよう」が先に立ちます。
やる気を刺激されたからではなく、安心して動けるから動いています。

がんばらせようとすると起きること

がんばってほしい、成長してほしい、という思い自体は自然なものです。
ただ、その思いが前面に出すぎると、子どもは評価の視線を強く意識するようになります。

評価される場では、失敗を避けようとする気持ちが強まります。
すると、試すことや考えることよりも、止まることが安全になります。

結果として、やる気が消えたように見える状態が生まれます。

やる気を支えるのは空気

やる気を出させる言葉よりも、
やらなくても大丈夫だと感じられる空気のほうが、長く影響します。

自分で決めていい。
途中で止まってもいい。
うまくいかなくても見放されない。

こうした感覚があると、やる気は自然に戻りやすくなります。

関わり方を少し引くという選択

何もしない、放っておく、という意味ではありません。
一歩引いて見守る、という選択です。

やり方を教えすぎない。
結果を急いで聞かない。
代わりに、考えた過程に目を向ける。

この距離感が、内側の動機を守る役割を果たします。

すぐに変わらなくてもいい

この関わり方を始めても、すぐに宿題に向かうとは限りません。
しばらくは何も変わらないように見えることもあります。

それでも、やる気を無理に動かそうとしない時間は、意味を持ちます。
引っ込んでいた気持ちが、また表に出てくる余地を残すからです。

この記事の前回にあたる内容はこちらです。

https://shirutera.com/blog/blogs/when-homework-kills-motivation/