宿題をやらないのは怠けではない──内発的動機付けから考えるやる気の正体


宿題を前にして動かなくなる子どもを見ると、つい「やる気がないのでは」と感じてしまうことがあります。
声をかけても反応が薄く、時間だけが過ぎていく。
その状況が続くほど、大人の側も焦りや苛立ちを抱えやすくなります。

ただ、その「やる気がない」という見立ては、本当に状況を説明できているのでしょうか。

やる気には種類がある

心理学では、やる気を大きく二つに分けて考えます。
一つは外から与えられる理由によって生まれるやる気、もう一つは本人の内側から生まれるやる気です。

前者は、叱られるからやる、評価が下がるからやる、といった状態です。
後者は、わかりたい、できるようになりたい、といった気持ちが出発点になります。

宿題に向かえない子どもは、前者が弱いというより、後者が育ちにくくなっている場合があります。

内発的動機付けは失われやすい

内側から生まれるやる気は、とても繊細です。
失敗が続いたり、結果だけを見られたりすると、簡単に弱まってしまいます。

がんばっても認められない。
途中の工夫や考えが評価されない。
こうした経験が積み重なると、学習そのものが「避けたいもの」に変わっていきます。

やる気がないのではなく、やる意味を感じられなくなっている。
そう捉えたほうが自然な場面も少なくありません。

宿題が作業になるとき

本来、宿題は学習内容を整理し、自分の理解を確かめるための時間です。
しかし、量やスピードばかりが重視されると、宿題は「こなす作業」になります。

意味を感じられない作業に対して、内側からやる気が湧くことは多くありません。
大人でも、目的の見えない仕事に前向きになりにくいのと同じです。

内発的動機付けを支える視点

内発的動機付けが育ちやすい状況には、共通する要素があります。
自分で選んでいると感じられること。
少しずつできていると実感できること。
見守られていると感じられること。

宿題の場面でつまずきが続くときは、これらのどこかが欠けていないかを見直すことがヒントになります。

声かけが変えるもの

「早くしなさい」「まだ終わっていないの」といった声かけは、短期的には行動を引き出すことがあります。
ただし、それは外側からの圧力によるものです。

一方で、「どこが一番むずかしかった?」「ここまで考えたんだね」といった言葉は、子どもの内側に目を向けるきっかけになります。
どちらがすぐに結果を出すかではなく、どちらが学びを長く支えるか、という視点が大切になります。

やらせる発想から離れる

宿題をやらせることを目的にすると、やる気は管理の対象になります。
学ぶ力を育てることを目的にすると、やる気は関係性の中で支えられるものになります。

どちらを選ぶかで、見える景色は変わってきます。
すぐに解決しなくても、見方が変わるだけで関わり方は変えられます。

この記事の前回にあたる内容はこちらです。

https://shirutera.com/blog/blogs/bullying-records-meaning-dialogue-not-evidence/