手を出しすぎると、動けなくなる──宿題と距離感、そして習慣の話


宿題を前にして止まっている子どもを見ると、
つい手を出したくなります。
声をかけたくなります。
なんとか動かしたくなります。

けれど、関われば関わるほど、
子どもがますます動けなくなっているように感じることもあります。

前回の記事では、やる気は育てなくていい、という視点を整理しました。
今回はもう一歩踏み込み、やる気がなくても宿題が進む家庭で、何が起きているのかを見ていきます。

やる気がない日は、誰にでもある

まず前提として、やる気がない状態は異常ではありません。
大人でも、気分が乗らない日はあります。
それでも仕事に向かえるのは、多くの場合「やる気」があるからではありません。

決まった時間に出社する。
流れが決まっている。
考えなくても体が動く。

つまり、習慣です。

やる気に頼ると不安定になる

宿題を「やる気があるかどうか」で判断すると、日によって結果が大きく変わります。
今日はできた。
今日はできない。
その差に、大人も子どもも振り回されます。

やる気は、気分や体調、出来事に左右されやすいものです。
そこに宿題を乗せると、毎回スタート地点が変わってしまいます。

動いている家庭は、習慣で動いている

やる気がなくても宿題に向かえている家庭では、
特別な声かけや強い意志が使われているわけではありません。

・始める時間がだいたい決まっている
・場所が固定されている
・終わったあとの流れが決まっている

こうした「考えなくていい仕組み」があります。

宿題は、やる気を出して始めるものではなく、
いつの間にか始まっているものになっています。

手を出しすぎると、習慣は育たない

ここで問題になるのが、大人の関わり方です。

今日はやる気がなさそうだから声をかける。
止まっているから横で見張る。
進まないから手順を細かく指示する。

こうした関わりは、その場では助けになります。
しかし続くと、子どもは「自分で始める必要のない宿題」を学習します。

始めるきっかけが、常に大人になるからです。

習慣化で大切なのは、量より流れ

習慣化というと、毎日完璧にやらせるイメージを持たれがちです。
ですが、重要なのは量ではありません。

短くてもいい。
途中で終わってもいい。
同じ流れを繰り返すことが大切です。

決まった時間に机に向かう。
問題を一問だけ開く。
終わったら片づける。

この一連の流れが体に入ると、
やる気がなくても「とりあえず始まる」状態が生まれます。

やる気は、後からついてくることもある

習慣で動き始めると、不思議な変化が起きます。
やり始めたあとに、少し集中できる。
一問解けて、気分が変わる。

これは、やる気が先にあったからではありません。
動いたあとに、気持ちが追いついてきています。

順番が逆でも、問題はありません。

大人の役割は、管理ではなく設計

やる気を引き出す役ではなく、
習慣が回る環境を整える役。

この役割に切り替えると、
声かけは減り、衝突も減っていきます。

やらせなくても進む。
見張らなくても始まる。
その状態を目指すことが、結果的に一番楽になります。

この記事の前回にあたる内容はこちらです。

https://shirutera.com/blog/blogs/motivation-does-not-need-to-be-grown/