家庭で唯一、機能したのはボードゲームだった|会話が回復したケース
この家庭では、
話し合いがすべて失敗していました。
注意してもダメ。
励ましてもダメ。
黙って見守っても、何も変わらない。
それでも、
一つだけ機能したものがありました。
本記事について
本記事は、筆者が小学校教員として関わったケースをもとに構成しています。
学校では、児童の心理的・行動的な変化が見られた場合、
担任単独で対応せず、管理職・養護教諭・SC・SSWを含むケース会議を行います。
本記事は、そうしたケース会議および日常的な関わりの中で得られた知見をもとにしています。
特定の家庭や児童が識別されないよう、事実の核心を保ったまま一部変更・再構成しています。
児童Fの状況
児童Fは小学5年生。
・家庭でほとんど話さない
・質問されると黙る
・感情を言葉にしない
学校でも、
最低限の受け答えだけでした。
家庭で起きていた行き詰まり
保護者は、
「ちゃんと話し合おう」としていました。
しかし、
・どう思ってるの?
・何が嫌なの?
・言ってくれないと分からない
この問いかけが、
すべて逆効果でした。
ケース会議で共有された前提
SCが最初に整理したのは、
この前提です。
「この子は、言語で感情を処理する段階にいません」
話せないのではなく、
話す回路が閉じている。
会話を目的にしてはいけない
この段階で、
会話を増やそうとするのは危険です。
・話せない自分を突きつけられる
・評価されている感覚になる
・さらに黙る
悪循環が起きます。
提案されたのは「遊び」
ケース会議で出た提案は、
とても地味なものでした。
「会話を目的にしない関わりを入れましょう」
そこで候補に挙がったのが、
ボードゲームです。
なぜボードゲームだったのか
理由は明確です。
・ルールがある
・勝ち負けがある
・役割が決まっている
話さなくても参加できる。
実際に起きた変化
家庭で導入されたのが、
「はぁって言うゲーム」でした。
最初は、
・表情だけ
・声が小さい
・ぎこちない
それでも、
ゲームは進みます。
決定的だった瞬間
数回目のプレイで、
児童Fが笑いました。
大きな声ではありません。
でも、
感情が外に出た。
この瞬間を、
保護者ははっきり覚えています。
会話は「結果」であって「目的」ではない
その後、
・ゲームの感想
・誰が面白かったか
・次どうするか
自然に言葉が増えました。
会話を引き出したのは、
問いかけではありません。
構造です。
教育的に見た、このゲームの強さ
「はぁって言うゲーム」は、
・表情
・声色
・感情の違い
を安全に扱えます。
簡易化すれば、
SST(ソーシャルスキルトレーニング)としても使えます。
第一弾をすすめる理由
シリーズはいくつかありますが、
教育的に最も洗練されているのは第一弾です。
・お題がシンプル
・表現に集中できる
・合コン的要素が少ない
現場で使うなら、
これ一択です。
幻冬舎 はぁって言うゲーム(第一弾)
「話させる」のをやめたら、話し始めた
このケースの結論は、
とても皮肉です。
・話させようとした時期は、何も起きなかった
・話す必要がなくなったら、話し始めた
前の記事はこちら
スクールカウンセラーにつながるのが遅れた結果
https://shirutera.com/blog/blogs/late-sc-intervention-long-recovery-case/