ここまで来ると、学校と家庭だけでは救えなかった|限界を超えたケース


このケースでは、
誰かが決定的に間違えたわけではありません

ただ、
動かなかった時間が、
あまりにも長かった。

本記事について

本記事は、筆者が小学校教員として関わったケースをもとに構成しています。
学校現場では、児童の不調が見られた場合、担任・管理職・養護教諭・SC・SSWを交えたケース会議を行い、対応を検討します。

本記事の内容は、そうしたケース会議や日常的な関わりの中で得られた知見をもとにしています。
特定の児童・家庭が識別されないよう、事実の核心を保ったまま一部変更・再構成しています。

児童Hの初期の様子

児童Hは小学6年生。

・学力は安定
・問題行動なし
・友人関係も表面上は良好

最初に見られた変化は、
ごく小さなものでした

見過ごされたサイン

・朝の欠席理由が増える
・体調不良の訴えが曖昧
・感情の起伏が減る

どれも、
「よくあること」
として処理されました。

家庭と学校の共通認識

家庭も学校も、
こう考えていました。

「大きな問題はない」
「そのうち戻る」

この認識が、
長く共有され続けました。

しかし、内部では進行していた

児童Hの中では、

・不安
・自己否定
・回避

が、
静かに固定化していました。

表に出ないため、
気づけなかった。

ケース会議が本格化した時点

異変がはっきりしたのは、

・連続欠席
・強い拒否反応
・登校に関する極端な不安

が出てからです。

この時点で、
すでに時間は経っていました。

会議で共有された厳しい見立て

SCの見立ては、
率直なものでした。

「この状態を、
 学校内だけで戻すのは難しい」

ここで、
初めて全員が理解しました。

なぜ回復に時間がかかったのか

理由は単純です。

・不調が日常になっていた
・本人が「これが自分」だと理解していた
・選択肢が狭まっていた

回復とは、
元に戻ることではありません。

別の状態を一から作ることです。

家庭の後悔

保護者は、
何度も同じ言葉を口にしました。

「もっと早く、動けばよかった」

この言葉は、
責めではなく、事実でした。

学校の限界がはっきりした瞬間

担任も、
管理職も、
本気で動いていました。

それでも、

・時間
・専門性
・環境

の壁は超えられませんでした。

外部につながる以外の選択肢がなかった

このケースでは、
学校外の専門機関につなぐ以外、
選択肢がありませんでした。

それは、
敗北ではありません。

現実的な判断です。

一番の教訓

このケースが残した教訓は、
とてもはっきりしています。

・小さなサインは、放置しない
・学校と家庭だけで抱え込まない
・動くなら、早いほうがいい

子どものメンタル不調は、待ってくれない

不調は、
自然には消えません。

形を変えて、
残ります。

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気持ちはあった。でも言葉がなかった
https://shirutera.com/blog/blogs/low-grade-vocabulary-misunderstanding-case/